世の中、日々色々な事が起こる。
『京都のALS嘱託殺人事件』
そんな風に呼ばれる事件の第一報を知ったのは、TVのニュースからだった。
51歳の女性患者…京都で起こった事件だということと、同い年として、彼女の決意を持っての 死の選択に、なんとも胸が詰まった。
日毎に続報が重ねられ、何枚かの写真が出た時、その人が " ゆりねえ "だという事に、 ようやく気が付いた。
彼女とは私が20代の頃、あるセレクトショップで短い期間一緒に働いた事があった。
ラテン系のノリで、明るくさばけた姉御系。
海外経験のある人は、こんなにも眩しく・自信に溢れているのか!と、眩しく感じた事を今もよく覚えている。
何事にもポジティブ、でもそれを人に押しつけることの無い彼女。
世の中にある様々な価値観や経験を踏まえた からこそ、備えている品格が彼女にはあった。
当時の私は、言い訳を並べて京都の中から飛び出せない自分のちいささを、恥ずかしく思ったりもした。
人生の交差点…ほんの短い間、たまたま一緒に働いた。
あれから20数年。
こんな風に、彼女を思い出すなんて。
フランスに【noblesse oblige】
( ノブレス オブリージュ )という言葉がある。
元々の意味は、
『高貴な身分に生まれ育った人は、それに相応しい社会的義務や責任を担って、生きていかねばならない』というもの。
事件をめぐって様々な物議を醸しているが、 この言葉が頭をよぎった。
私なんかが彼女の気持ちを思いはかることは、到底出来はしないが…
気高く生ききった人生の決断だと思った。
この先も私の中の"ゆりねえ"は、誇り高く
眩しい存在であることに、ずっと変わりない。