あてなるもの

大人京都人視点日々色々

祖母の面影

敬老の日

はてなブログ今週のお題

「おじいちゃん・おばあちゃん」

私の祖母…母の母は、【オノ・ヨーコさん】によく似ていた!

顔形が似ていただけでなく、祖母の発想も  なかなか革新的だった。

私はいくつかの転職をしているが…最初の転職先に移ってしばらく経った頃、祖母から電話が掛かってきた。

『もう、あんた、ぼすにはおなりか?』

『え?おばあちゃん、何て??』

 ボスニハオナリカ?!

『いや、そやさかい、ぼすにはおなりか?』

電話口でこんなやり取りを二度ほど繰り返し、

やっとわかった! BOSSのボスか!!

祖母は、私が転職先で、ボスになったのか?

と聞いてきたのだ。

祖母は時々私が知らない昔の京都言葉を使う事があり、今は使われなくなった言い回しやイントネーションを調べに、言語学者の先生が訪ねて来られた事もあった。

まさか祖母の口からBOSSが出てくるとは思わず・昔言葉の類いかと思っていたので、大笑い した!!

祖母の頭は柔らかく、" 良いもの " を取り入れるのが好きな人だった。

90年代。祖母は、留守番電話の名人になった。

帰宅すると、自宅の留守番電話には祖母からのメッセージが。まるでそこに聞き手がいるかのような絶妙な間合いで、祖母の優しい語らいが 吹き込まれていた。きっと今なら、スマホを使い熟したに違いない!

後年長く入院生活をしていたが、祖母の好奇心は衰えなかった。当時私は忙しく、出勤前にしかお見舞いに行けず・何もしてあげられなかった。せめて良いもの好きの祖母の気が晴れればと、楽しい服装で病室を訪ねた。

襟の高さが10センチ程ある、アレキサンダー・マックイーンのワイシャツ。

ちょっと宇宙的?保冷バックに似たシルバー 素材のボックススカート。

つい、柄を目で追いたくなる、       エミリオ・プッチのスカート。

『いや〜〜!粋な!』『なんときれいな!』と、祖母は手を伸ばし布地を確かめたりした。

病院には不謹慎な派手な服装かと思ったが…    意外にも病棟の方々にも大ウケ、祖母はとても喜んでくれた。

祖母のおしゃれ魂が衰えていない事に、   私も元気を貰った。

 

あれから時が経ち、母の老いは祖母の姿を思わせてくれる。

母は祖母に近づき、私は当時の母の年齢になっている。

日常のふとした瞬間に、母の中に祖母の面影が覗く。

あと20年もしたら、祖母は私の中にも現れてくれるのだろうか?

今からその日を心待ちにしながら、良い歳を重ねていこうと思う。

 

 

 

 

 

 

あの日、あの時、あの場所で。

先週、ちょっと嬉しかった事があった。

インスタを見ていて、思わず『あっ!』

となったのは、一冊のこの本。

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この本の投稿者は、なんと【鈴木保奈美さん】

インスタのおすすめで偶然覗いたこの日、  私が大切にしてきた本が取り上げられていた!

保奈美さんも90年代のお洒落バイブルとして、この本の小型版を持っていらっしゃったこと、お知り合いのライブラリでこの本を見つけて、 嬉しさと懐かしさで一晩貸し出してもらわれたことが書き込まれていた。

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私がこの本を手入れたのも28、9年前?!

どのページも本当に素敵で、うっとりした。

そこそこ高額だったので…

立ち読みで1時間、購入までに2回書店に出掛けた後、絶対に自分に必要な物だから!と意気込んで手に入れた。

そこから90年代の私は、

【バーニーズ ニューヨーク】に通った。

新宿店や横浜店…出張や休暇で東京に行く際は、必ず寄った。当時バーニーズの広告イラストを担当していたフィリップ・デロームの個展に出掛けたり、画集を集めたりもした。

この本のLOOKに憧れて、バーニーズで沢山の 素敵なアイテムに触れた。

保奈美さんのインスタへのコメントには、  フォロワーの方々から、東京ラブストーリーの『リカ』のスタイルを思い出すとも書かれてあった。

小田和正さんの曲に乗り、リカはカンチと出会ったが…私はこの本と、先々まで続く自分のスタイルに出会ったことになる。

30年弱の時間を超えて、SNSでこんな風に共有できるなんて、あの頃には想像も出来なかった。

 

あの日、あの時、あの場所で

巡り合えなかったら…

私のおしゃれの記憶は、こんなに楽しいものではなかったと思う。

人生に関わる一冊、これからも長い付き合いになるだろう。

 

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今年の送り火

今年の送り火、コロナ禍での送り火

どうなる事かと思ったが…いつもより想いの強いお盆だったように感じた。

今年の五山は、火床の数を減らして文字を描く事はせず、絞り込んだ炎での点火となった。

この数年、台風や暴風雨で送り火の心配をしたことはあったが…まさか、こんな風に送るお盆が来るとは。

それでも点火を取りやめなかったのは、京都中の人の願いからだと思う。

 

『お精霊さんは、迷わんと帰れはるやろか…』

ぽそりと、母が呟いた。

京都では、おしょらいさん・おしょうらいさん

と呼ぶ、御先祖様。

鳥居の形をしていない送り火を、感染防止策の通りに、今年はマンションからお山を覗き込んで見送った。 

数年前に母は、母の両親(私の祖父母)が鳥居形の端っこを、手を繋いでくぐっていかはるのが見えたと話していたことがあった。

夜空の向こうに浮かび上がりだした、オレンジの二つの点。手を合わせて静かに念じた。

確かに心もとない気もする慣れない風景…

そう思った瞬間、パシャパシャ・カシャカシャと、ご近所のあちこちからシャッター音が聞こえてきた!

うちと同じで、ベランダや玄関前から遠くお山を眺めたはる。

今年の送り火の意味をみんなが理解している。

 

今年だけの送り火を、色んな思いでシャッターを切った。

 

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いちじくのジャム

蝉大合唱の快晴日。

一昨日は、母の通院日だった。

母が薬局でお薬の処方を待つ間、『ある物』を探しに、私はいつものお店へ。

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そう、これ!  " いちじく "

そろそろ旬かと、待っていた。

そのまま食べても美味しいが…我が家では、

ジャムを作る。

いちご、さくらんぼ、いちじく、りんご。

年間を通して、旬の果物での季節仕事。

意外に思われるかもしれないが…

京都産のいちじくは生産量もあり、質も上々。

お店で買うだけでなく・昔からご近所のお宅や公園でも、いちじくの木をよく見かけた。

お盆といちじく。

地蔵盆のお供物にも、いちじくは欠かせない。

今年はコロナ禍で、春のジャム作りは頓挫。  それだけに心待ちにしていた。

質と量と納得価格!病院の近くに望み通りの ものが揃うお店を発見してから、通院の際の 楽しみにしている。

ジャムは40分もあれば、簡単にできる。

いちじくの皮を丁寧に取り除き、小さく   カット。白ワインとグラニュー糖で煮詰める。

今回のワインは、甲州産のシャルドネ

仕上げには、レモン汁を加える。

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木べらで混ぜながら煮詰めている隣で、    出来上がったジャムを入れる瓶を煮沸消毒。

熱々のジャムをすくって、味見をしたら完了だ。

 

毎年の季節仕事が出来たこと。

当たり前のように明日が来て、ジャムを付けた パンをほうばれること。

感謝と幸せを感じながら、瓶の蓋をしっかりと閉めた。

 

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noblesse oblige

世の中、日々色々な事が起こる。

 

『京都のALS嘱託殺人事件』

そんな風に呼ばれる事件の第一報を知ったのは、TVのニュースからだった。

51歳の女性患者…京都で起こった事件だということと、同い年として、彼女の決意を持っての 死の選択に、なんとも胸が詰まった。

日毎に続報が重ねられ、何枚かの写真が出た時、その人が  " ゆりねえ "だという事に、   ようやく気が付いた。

彼女とは私が20代の頃、あるセレクトショップで短い期間一緒に働いた事があった。

ラテン系のノリで、明るくさばけた姉御系。

海外経験のある人は、こんなにも眩しく・自信に溢れているのか!と、眩しく感じた事を今もよく覚えている。

何事にもポジティブ、でもそれを人に押しつけることの無い彼女。

世の中にある様々な価値観や経験を踏まえた からこそ、備えている品格が彼女にはあった。

当時の私は、言い訳を並べて京都の中から飛び出せない自分のちいささを、恥ずかしく思ったりもした。

人生の交差点…ほんの短い間、たまたま一緒に働いた。

あれから20数年。

こんな風に、彼女を思い出すなんて。

 

フランスに【noblesse oblige

( ノブレス オブリージュ )という言葉がある。

元々の意味は、

『高貴な身分に生まれ育った人は、それに相応しい社会的義務や責任を担って、生きていかねばならない』というもの。

事件をめぐって様々な物議を醸しているが、 この言葉が頭をよぎった。

私なんかが彼女の気持ちを思いはかることは、到底出来はしないが…

気高く生ききった人生の決断だと思った。

 

この先も私の中の"ゆりねえ"は、誇り高く

眩しい存在であることに、ずっと変わりない。

 

 

 

 

 

京都のプリンス

連日の大雨。

一昨々日は私の暮らすエリアにも、早朝二度ほど   避難勧告アラートが鳴った。

天候の急な変化は、見過ごさず用心したい。

 

そんな中、久々に『あるノート』を手に取った。

実は、2月にファイナンシャルプランナーの相談会に 参加してから、簡単な家計簿を付けている。     一冊めのノートが終わり、次のノートが必要になって 引き出しをゴソゴソ。

 

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立派な涙袋が書かれたお茶目な紳士。

イニシャルは、Y.T

ワコールHD会長、今年の春から京都商工会議所会頭になられた【塚本能交氏】の似顔絵ノート。

塚本氏ご本人が⁈  会長夫人が⁈  描かれたなど、   諸説あるプレミアムなノートだ。

昔、私はワコールの輸入品営業部でお世話になっていた事がある。店長職をしていた頃に頂いた優秀販売員賞のご褒美。ノートと塚本氏直筆の激励メッセージが入ったクリアファイルとをセットで頂いた。

BAさん(ビューティーアドバイザー)と呼ばれる沢山の 販売員さんが頂かれる賞で、私が特別な訳ではない。 日頃の労をねぎらって頂いたことや、京都企業的な?『ふふふ』と笑顔になるなんとも言えない趣向。

懐かしい良い思い出として、ずっと残しておいた。  

ノートの使い道がわからず15年が経った今。

我が家の家計力アップのために、ありがたく使わせて 頂くことにした。

会頭職を親子二代で務められるのは、        京都初だそう…そうした安定感もまた、家計簿向き。

"げん担ぎ "好きの私に嬉しいミニ情報。

 

世の中は様々な事で混乱気味だけど…

このノートを使い切る頃には、京都の経済も     我が家の経済も、明るく・楽しく上向きになる事   を願いたい。

一日の終わり、レシートを貼り付けながら、     そんな願掛けをちょっとしてみた。

 

 

 

 

八ツ橋の乱

書こうか、書くまいか?

迷っていたところで、日経の記事を

見つけて、書く事にした【八ツ橋の乱】

井筒vs聖護院…創業年を巡っての争い。

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京都人としては、なんとも複雑な心境で   この争いの成り行きを見ていた。

井筒さんの訴訟を聞いて…

今頃一体どうしゃはったん??

気ぃ悪い事ないんやろか?

負けたらこの先どうしはるん?

などなど。

家族もご近所も騒然となった、この騒動。

調和と秩序が守られているからこそ、成り立っている事が、この街には沢山ある。

訴えるのには、それなりのご事情があったのかもしれない。

それでも『よその家の事には、口を出さない!』のが、鉄則だ。

八ツ橋は私も大好きで、子供の頃から親しんだ大切なお菓子でもある。

行事や進物・手土産など、色々な場面でお店も使い分けている。

創業年がいつであっても、それぞれの家庭の好みがあり、思い出という歴史がある。

真か偽かという問題では全くないのだ。

各々の【心の老舗】というものがきっとある。

日経の記事では"SINCE"で上手に語られていたが…    

井筒さんには、何年から創業かという事よりも、『この先何年続けていけるか?』という事に、全力を注いで頂きたいと思う。

 

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