あてなるもの

大人京都人視点日々色々

京の着倒れ

今年のクリスマス・イブ、実は続きがあった。

亡くなった大好きだった伯母の

『ミンクのコート』を譲り受けた。

すでに形見分けでは、別のものを貰っていたが…         イブのお墓参りの帰りに、そういう流れになった。

コートは今から40年以上も昔に、愛妻家だった伯父が伯母のために百貨店で誂えたもの。

伯母夫妻には男の子しかいないため、生前から    そのコートを母に託すと話していた。

母からは聞いていたものの、記憶もおぼろげで、   どんなコートなのか?全くイメージがわかなかった。

私は普段からアンティークやヴィンテージの時計や  ジュエリーを自分の暮らしに取り入れたりする。

ヴィンテージの『ミンクのコート』

ロング丈で、やたらに重く・いかつい肩パットと、  むやみなゴージャス感が頭をよぎった。

母にはもう毛皮のコートは重過ぎるし…袖を外して、 ジレに仕立て直し、残りの部分はバッグやネック   ウォーマーにしようと考えていた。

" モダン"なリフォームで、普段使いできる事が、  一番だと思っていた。

ところがコートを見た途端、そんな考えは

吹っ飛んだ! 

伯母のコートは、私には、このうえなくエレガントに 思えたからだ。

袖を通すと、鳥肌が立った!

程良い着丈で、軽く暖かく、            ミンクの毛艶も申し分なかった。          ポケットの内側には、ベルベットが張られていた。

袖口のデザインにも、ぐっときた。

サイズもまるで私に誂えられたかのよう。  

母も私も手が長いが…伯母もそうだったのかと、   遺伝というものにも、少し胸が熱くなった。

 

伯母が着て、母が着て、私が着る。

受け継がれる物語やアイデンティティが詰まった   大切なコート。

 

2019年の締め括り、40年の時を経て

私の【人生の10着】に新たなアイテムが増えた。

 

 

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