マンションの管理会社のご配慮で、 排水管の大掃除がうちだけ前倒しになった。
やれやれと、翌日は母と鞍馬口通りにある
【船岡温泉】に出掛けた。
温泉と名がつくが、京都では老舗の趣ある銭湯。京都人は元より、観光客・銭湯通など、 みんなに愛されている。
夜10時半、母とタクシーに乗って向かった。
タクシーの運転手さんに『船岡温泉まで』と
告げるだけで、細かな道の説明はいらない。
ピークの時間は過ぎたようで、女湯はガラガラ。脱衣所に入り、脱衣籠を出す。
ここには、昔懐かしい銭湯のお道具やお作法が今も残っている。
久々にかわいいタイルと見事な欄間を眺めていると、なんだか視線を感じる。
母は脱衣所の椅子に座っているし…後ろを振り返ってみると、優しそうなおばあちゃま。
お風呂上がりで、お着替え中。
会釈して前を向こうとすると…
『おねえちゃん、かいらしいね〜。大学生?』
と話しかけられて、びっくりした!!
え?誰?私?! 嘘〜。でも私しか居ない。
『え、、、いや、あの50歳過ぎてます』と
モゴモゴしながら、答える私。
『そうなん?!かいらしなぁ〜。おばあちゃんは、83やで〜』
なぜだか?おばあちゃまは、まるで小さな子供でも見るように、目を細めて嬉しそう。
横で聞いていた母も笑いながら会話に加わる。
おばあちゃまはニコニコされ、三人で楽しくお喋りをした。寒い夜だからか、下履きを何枚も重ねながらお着替えを完了されると、何回も手を振って帰られた。
大学生に見えた事・かわいいと言われたのは、髪型のせいやろねぇ〜と、母と確認し合った。
実はこの夏、私はカリカリに痩せて貧相に見えるため、髪型をマッシュルームに変えていた。手入れも楽で、カジュアルからモードまで色々なスタイルにもしっくりくる。
イメチェンはなかなか好評だったが、30歳も若く見られるとは…マッシュ恐るべし!!
パタゴニアのボアのアウターとデニムの組み合わせも若く見えたのだろう。
湯冷め防止には、パタゴニアは欠かせない。
銭湯ならではのコミュニケーションを楽しみ、
母の背中を流してプチ孝行。
とても良い夜になった。
帰り際、外に出ると、金木犀の香りがした。
船岡温泉の門の両側の植え込みからだ。
小学生の頃、金木犀の花びらを集めて帰った事を急に思い出した。ちり紙に包んだ金木犀を、自慢げによく母に見せたものだった。
レトロでホッと…
船岡温泉の薬効とは " 心の芯も温める "
こんな出来事なのかもしれない。