やっと横殴りの雨が止んだ、今日。
桜がどうなったのか?やっぱり気になり、朝から出掛けてみた。
行き先は…桜守【佐野藤右衛門さん】のお宅。
台風での桜のダメージやコロナの感染対策で、ここ数年、藤右衛門さんのお庭の桜を拝見することはできなかった。
今年は、もしかしたら?と、期待を込めて向かう。
敷地内を覗き込むと、去年のような"立ち入りお断り"的な看板も無い。
『ええの? あかんの??』
お花見をさせて頂いても大丈夫なのか?判断がつかないまま、そろりそろりとお庭に向かう。
雨で散った花びらを踏みながら進むと、聞き覚えのある声が、、、
庭石に腰掛けてお電話中だったのは…なんと、
藤右衛門さんご本人だった!!
お変わりなくお元気そうなご様子に、とても嬉しくなった。
お電話が終わるのを待ってから、藤右衛門さんに、ご挨拶。
桜やお花見について尋ねてみると…
『そろそろ、ええかいなと思て』とのこと。
色々なことが落ち着いてきたので、今年はやっとお庭を開放して下さるよう。
夜のお花見については…『気がむいたらなぁ』と、いうことだった。
藤右衛門さんは4月のお誕生日で、御年95歳。
草刈り作業の途中でのお電話だったらしく、キレのある動きで、藤右衛門さんはブンブンと草刈りを進めて行かれた。草刈り機だけでも重いはずなのに、疲労感は全く無し!
かがり火の灰が舞ってくる中でも、怯むことなく薪をくべられていた。
やっぱり藤右衛門さんは、レジェンドだ。
お庭の桜はまだ蕾のものも多く、明日以降もまだまだ楽しめる。様々な種類の桜が順に満開を迎える。何層にも重なった桜の風情も格別だ。
数年ぶりにお庭に入れて頂いて、改めて気付いた。
藤右衛門さんのお庭の土は、フカフカしている。
どの桜の下も、こんもりフカフカの土に覆われている。柔らかくて養分がたっぷりの土。
植物と太陽、雨や風、豊かな土がブレンドされた独特なお庭の香り…桜の美しさは、自然との調和があってこそなのだろう。
妖しい桜、迫力ある桜、雅な桜、京都の桜の名所は数え切れないほどある。
藤右衛門さんのお庭の桜は、脈々と続く自然と人の営みを感じることができる優しい桜かもしれない。