冬至も間近。
山も川も街路樹も、ここ数日で一気に冬の景色に変わった。
底冷えの京都…どんな感じの寒さ?と聞かれ、
私がいつも答えるのは
『ずっとスケートリンクの中にいる感じ』
空気もスケートリンクの匂いに似ている気がする。冷気に鼻がツンとして、下半身から見えない冷えのヴェールで包まれていく。
底冷えがすればするほど、温まった時の幸せも同時に感じる。
この時期のごちそうは、『あんかけ』もん。
"ぐじ(甘鯛)のかぶら蒸し"なんかは、奮発したおかずで、たまのこと。
普段に頂くのは"あんかけうどん"
我が家の場合、細めのおうどんを使う。
具は、生姜とおねぎ。有れば、お揚げも。
たっぷりと生姜をすりおろし、おうどんは柔らかめに煮る。あとは好みのお出汁のつゆを片栗粉でいい具合に仕上げるだけ。
卵でとじたあんかけうどんもあるが…私には、生姜と九条ねぎのシンプルなあんかけが一番!今時期のおねぎは甘く、九条ねぎもまた独特の餡を蓄えている。
派手さは無く・一見するとそっけないメニューに思うが…あんかけうどんは、なかなか奥が深い。
老舗から行列繁盛店まで、新旧問わず京都の麺処には冬の大事なメニューでもある。
絡むおうどんの硬さ、生姜とお出汁の相性、具のチョイス、そして決め手は "あん"の濃度。
それぞれを引き立て合う良いあんばいに仕立てられた時、びっくりするほど鮮烈な旨味を発揮する。
ゆる過ぎず、ボテ過ぎず…最後におろし生姜をあんの上に乗せた時、沈まずきれいに立った時が、私の成功あんかけうどんだ。
ジーンと生姜の風味が抜けて、
ほっこりと幸せな気分に。
食べた後も生姜のパワーで全身ぽっかぽか。
ありがたい事しかない。
出しゃばらず、シンプルに…相応しい濃度を保って、それぞれの役割を果たしてバランス良く仕上げる。
あんかけうどんは、京都の街の仕組みにちょっと似ているのかもしれない。
冬の京都にお越しなら、ぜひ一度ご賞味あれ!